ブサイク天使と同棲始めました

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「えっ、一緒に住んでるの? ニコちゃんいつの間に。あらぁ、今時の若い子はやるなぁ」  田木さんはそう言って、座敷を後にした。二人だけの空間をと気を使ってくれたのか、普段は使わない障子の引き戸を閉め、カウンター席にいるお客さんの会話を遮ってくれた。彼氏だと思われても、田木さんならいいやと諦める。 「ここは?」  不思議そうにきょろきょろと辺りを見回す天使に、「行きつけの店だよ。夜ご飯を食べに来たの。とりあえず何か食べよう。天使って何を食べるの?」とおしながきを見せた。 「何でも。下界にいる時は、人間の習慣に合わせる。どれがオススメか解らないから、ニコが適当に頼んでくれ」  そう言われたので、自分の好みで適当にメニューを頼んだ。料理が来るまでの間、先出しされたビールと枝豆をつまみながら、改めて昨日の天使の話をおさらいする。 「今回の『お仕事』は人探しだ」と昨夜、彼は私に告げた。  天使はTシャツを捲ると、ズボンのウェストの辺りに挟んでいたタブレットを取り出した。 「いつの間にそんな物を」 「司令部から支給された備品だ。住む場所が決まったから、荷物を送って貰った。ちなみにケータイ電話もある」と尻ポケットから電話を取り出した。
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