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「あ、そうか」と、天使は今気付いたという風な表情をした。
「更に更に探すのが難しくなった」と頭を抱える男を横目に見て、偉そうな態度だけど、コイツ、意外とアホじゃんと思った。相棒としてこれからの生活を考えると、気が重くなった。
「お待たせ。エイヒレに鶏の竜田揚げに、萌伊ちゃんスペシャル」
お盆に料理を乗せ、田木さんが現れた。それぞれの皿をテーブルの上に置くと、竜田揚げのおいしそうな匂いがして、お腹がなった。
「今日の萌伊ちゃんスペシャルは、豆板醤を混ぜたピリ辛モロキューに、チクワの中にキュウリと梅肉を入れてみたよ」
「おぉ、美味しそう。ありがとう田木さん」
ちなみに萌伊ちゃんスペシャルとは、親バトさんだけが注文できる裏メニューである。萌伊ちゃんの好きなキュウリを使った料理を、田木さんが気まぐれに調理してくれる。ここに来ると、いつも萌伊ちゃんスペシャルを頼んでいた。
天使はテーブルに並ぶ料理をじっと見つめた後で、ぐるりと改めて部屋を見渡し、「お前も笹井萌伊が好きなのか?」と田木さんに訊ねた。
田木ちゃんの座敷の壁には、コバト女学園のカレンダー(B2サイズ)が貼ってあった。
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