44人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう、田木さんがいい人だからって、調子に乗らないでよね」
文句を言いながら、モロキューを頬張る。うん、キュウリがみずみずしくて、美味しい。天使は返事もせずに、カレンダーの横にある、額に入った写真を眺めていた。
「ここにニコがいるな」と写真を指差して呟いた。
「あぁ、それね。1年位前の写真かな。萌伊ちゃんのいるアイドルグループを応援するファンの集会だった」
20人位の親バトさん達が集まった東北支部会での集合写真だ。親バト帽をかぶったオジサマたちの中に、紅一点、私の姿が写っていた。
「へぇ」と天使は立ち上がって、食い入るように写真見ていた。
友人のまあこちゃんを初めてここに連れて来た時に、この座敷の写真を見て、「うわっ、何、この集団。キモイ」と引いていたのを思い出した。
「何? いい年して恥ずかしい事してるって思ってる?」
どうせバカにしてるんでしょう? 友人のまあこちゃんですらそうだった。ふて腐れながら、訊ねる。口の中のキュウリをビールで流し込んだ。
「恥ずかしい? 何で恥ずかしいのだ? 皆いい顔をしている。ニコも。この人たちは、本当に笹井萌伊が好きなんだな」
最初のコメントを投稿しよう!