俺のサムライ 6(俺だけのサムライ)

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「虎牙君は龍ちゃんがバイだって知ってるの?」 「ああ。婚約破棄になった時、両家の人間には話した。そうしないと彼女が悪者になってしまうからな。その方が彼女の為だと思っていたとはいえ、自分の性癖をちゃんと話していなかった俺のせいだから」 龍ちゃんらしいと思った。 「八神家の人達の反応は?」 「まあ、最初はただ驚いていたな。でも、獅央がまず理解を示してくれて、結局最後はみんな分かってくれた」 龍ちゃんは簡単にまとめたけど、本当にすんなりいったかどうかは分からない。 よくできた三兄弟の中でも末っ子の龍ちゃんは皆に大事にされていた。二人の年の離れた兄達が「こいつは無口で愛想もないけど、うちで一番出来がいいんだ」とよく褒めていたものだ。 だからこそ虎牙君も、どちらも愛せるなら子供ができる女性と家庭をもったほうがいいぞとほのめかしたのではないだろうか。 「かなえは、お前に一目惚れしたようだな」 「ええ?俺、やたらと絡まれてたけど」 「かなえはな、年齢の割に幼い。一人っ子で両親だけでなく祖父母にも甘やかされて育っているし、小さいながらも会社経営者の娘だからちやほやされてきているからな。お前が帰って来る前はお前のことを根掘り葉掘り聞かれたぞ。あの張り切った料理もお前にいいところを見せたかったんだろうな。そのくせ、本人を目の前にするとあんな態度しかとれない、まるで子供だよな。でも、かなえを見ていて思ったよ。素直に心の内を表すのが一番なのに、俺も少なからずお前の前で格好良くいようとしてたんじゃないかって」 そこで龍ちゃんは俺をじっと見た。
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