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「俺や周りの人間が、蒼の事を可愛いと思うのは・・・お前がひねくれたところが無くて、変な駆け引きをしたりせず、素直にまっすぐ感情をぶつけてくるからだろうな。そんなところが大人になっても無垢で俺にとっては子供の頃の天使を思い起こさせ、周りの人達の”弟”たらしめるんだろう。」
龍ちゃんは優しく俺を見つめながら続ける。
「蒼のそういうまっすぐな気持ちに触れると、俺はすごく安心するんだ。だから、俺もお前の美点を見習うことにして、感情をもう少し素直に表に出そうと思った」
その結果が昨日からの甘い言動の数々だったのだろうか。
「まあ、色々言ったけど・・・要点はだな・・・
明日、俺は上司にはっきり見合いを受ける気はないと言う。それによって多少の軋轢は生まれるだろうが、そんなことはどうでもいい。元々、派閥にも興味がないしな。それから・・・」
そこで龍ちゃんは俺の手をとった。
「俺は一生結婚はしない。俺の人生のパートナーはお前でいてほしい」
ドクン。自分の心臓の音が耳から聞こえたような気がした。
「それって・・・プロポーズに聞こえるけど・・・」
自分の声が震えていることに自分で驚く。
「まあ、そうだな。だからといって何が変わるわけでもないけど、俺の覚悟を蒼に知っておいてもらいたかった」
俺はふらふらと立ち上がり龍ちゃんの膝に横座りし、首に手を回してそっと抱きついた。龍ちゃんが俺の体に腕を回し優しく抱きしめてくれる。
「龍ちゃん、俺・・・天使じゃないよ?普通の男の俺を愛してくれる?」
「ああ。本当はちゃんとわかってる。蒼、お前を、愛してるんだ」
「子供は持てないよ?」
「それもわかってる。前に婚約した時、『これで普通でいられる』という気持ちがどこかにあったのは否めないんだ。でも純粋に愛を貫く生き方もいいだろう?」
「龍ちゃん、俺ずっとずっと一緒にいるよ。絶対に離れないよ。だって、俺も龍ちゃんの事、愛してるんだから」
最後の方が涙声になっちゃってカッコ悪い。でも龍ちゃんは優しく頭を撫でてくれた。
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