第14章 濡風

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葉月と交代して風呂に入り終えた。 颯は、置いてあったバスタオルで身体を拭くと 少し考えてから、着ていた服をそのまま身に付けた。 多少、湿っているが着れなくはない。 脱衣所兼洗面所から出るとなんだか旨そうな匂いがしてた。 居間に行くと、葉月はTシャツに7分丈の スエット生地のパンツにパーカーを羽織ったラフな格好だった。 「あ、ちゃんとあったまった? 雑炊作ったんだけど、食べる?」 「あぁ。」 テーブルに、小さめのどんぶりに盛られた卵雑炊が出てきた。 「旨そうだな。」 「お腹すいちゃって。」 颯の右隣に、ちょこんと座る葉月。 「あんな時間まで、大変だな。」 「うん、でも大丈夫。明日はゆっくり出来るんだ。高村君は?明日も練習でしょ?」 「いや、明日は、各自軽めの調整。日曜、記録会だから。」 「そうなんだ。」 「・・・」 「あ、食べよう!冷めないうちに。」 「あぁ、いただきます。」 「いただきます。」 テレビの音だけが、やけに大きく部屋に響いていた。
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