第14章 濡風

2/9
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「―――― あぁ、わかった。じゃあ、また・・・」 高村颯は、釈然としない思いで、電話を切った。 どさりとクッションに仰向けに、沈み込む。 これで二度目だ。 週末のデートを葉月に断られた。 夏休み、一緒にこの部屋で過ごしてから、もう三週間も経っていた。 お盆に、帰省してから戻ってすぐ、颯は合宿、葉月は研修で お互い忙しかったのは確かだ。 それでも、大学はまだ夏休み中で 会う時間なんて、いくらでも作れると思っていた。 あい間に、葉月が見たいと言った映画を二人で見に出かけた。 アクション映画なんて見るのかと意外だったけれど楽しかった。 帰りに食事をして、電車だったので、葉月のアパートまで送っていった。 そのまま部屋に、って期待したけど、 次の日早いからと言って、別れ際にキスしただけで終わった。 なんだか逃げるように部屋に入っていった姿が気になった。 9月に入って、陸上の記録会やなにやら 週末は行事が詰まってきた。 学校が休みのうちに、なんとか・・・ もう一回ぐらいは・・・抱きたい・・・・ ふと、不安にになる。 何かまずいことしちまったのか? 夢中で、全然、余裕なかったもんな・・・ 考えれば考える程、わからなくなって 颯は、頭を抱え込んだ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!