第14章 濡風

3/9

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
******  ――――― ふぅ 遠山葉月は、ため息をついた。 きっと気を悪くしたよね、今の電話。 ぱふっ。 そばにあったクッションの上に寝転がった。 高村くん・・・・ 目をつぶれば、浮かんでくるのは颯の顔ばかり。 あの夜の事が、また心を占める。 比べることなどないと分かっている。 そんなつもりでも、全くなかった。 それでも、経験があるなら、前との違いは、考えないようにしたって、 どうしても、頭に浮かんでしまう。 敬治さんは、優しかった。 ううん、高村くんが優しくない訳じゃない。 私が知ってるsexは、 ゆっくりと、じんわりと気持ちよくなるような感じ。 でも、でも・・・ あんなに、激しいなんてぇ―――― 頭の中が、ショートしたように何も考えられなくなる。 思い出しただけで、身体の奥が熱くなって、 じわりと湿り気を帯びるのが分かってしまう。 そんな自分に戸惑いながら、 淫らな想いが、止められない。 口内を這う颯の舌。 節くれだった指に、ギュッと身体を掴まれる。 呼吸が荒くなって、 葉月は、自分で自分を抱き締めていた。 ぼうっと熱にうかされたような顔。 こんな顔で、高村君に会えないよ。 ******
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加