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ガチャ。
アパートのドアを開けて中に入ると、自然と大きなタメ息が出た。
「はぁ・・・凄かったね。」
「あぁ、ひでぇ天気だ。」
「タオル持ってくる。」
葉月は、ビチャビチャに濡れた靴下を脱ぐと、
洗面台からタオルを持ってきた。
颯は葉月バッグを取り出して、廊下に置いた。
頭からは、雨の雫がポタポタと滴り落ちている。
「ごめんね、こんなに濡れちゃって・・・」
屈んだ颯の頭に、タオルをかぶせる。
ゴシゴシと髪の毛を拭く葉月の手首を、颯の指先が、ゆっくりと遮るようにつかんだ。
何も言わずに、ギュッと葉月を抱き寄せる。
雨で濡れた身体は、冷えきっている筈なのに、
葉月の身体は、急に熱を帯びる。
「・・・このまま、帰ったら、風邪ひいちゃう・・・
今日は、泊まってって・・・」
とぎれとぎれに、颯の腕の中で、伝えた。
何も答えない颯の腕に、力が入った。
「あの、お風呂、お湯入れてくるね。」
そっと、身体を離すと浴室に向かった。
タオルをかぶった颯の顔は、よく見えなかった。
「オレは、ウィンブレの下、そんな濡れてないから、先に入れ。」
タオルをかぶったままの颯が、玄関に佇んだまま静かに言う。
「・・・うん、急いで入っちゃうね。」
「ばか、ゆっくりあったまんねぇと風邪ひくぞ。」
葉月が浴室に消えると、颯は濡れたジャケットをゆっくりと脱いだ。
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