『大事なこと』と『128√e980』

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「あれから鞄に入れて持ち歩いて、時々見てはいるんだけど未だにわからなくて…」 「ふーん、そうなんだ。まあ、答えは教えてあげないけどね。」 悠の言葉の最後が少し途切れた気がした。 唇が重なって暖かくて柔らかい感触に包まれる。離れた瞬間、唇は冷気を感じ、除く全身は熱を持った。 「ず、ずるい!」 今の感情をどう表現していいかがわからなくて、再び悠の胸元に顔を埋める。けれど、悠の背中を引き寄せている腕がもう緊張はしていなかった。 「機嫌直った?」 「…直らない。」 「そっか…じゃあ、俺は留学やめよっか。」 「…それはダメ。」 再び、コツリとつけられたおでこ。そこから溶け合う様に温もりが調和して、悠と1つになった気がする。 「悠…」 「んー?」 「好き…」 「……。」 「……です。」 クッと、こみ上げる笑いを抑える様に悠が笑い私がムッと口を尖らせた。 「…二度と言わない。」 「それはダメ。」 思えば、ずっとこんな風に一緒に居たんだよね、気持ちが通じ合う前から。 たくさん、辛い思いもしたけれど、大事な事はずっと変わらない。 互いを想い、大切でいる事。 この先もずっと、そうでありたいな…悠の隣で。 そんな願いを込めながら、もう一度したキスは、甘くて優しくて、少しだけ胸を締め付けた。 ~『128√e980』fin.~ Thank you for reading...
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