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扉を恨めしく見つめる私に、
「お前、知ってっか?」
と問う男。
「んー?」
「お前ん所の親御さん、お前のこと『めぐ男』って呼んでんぞ」
「へー。さもありなん」
「…良いのかよ」
散々言われてるしなあ。
男のようだと。
でも、思うのだけど。そういうふうに育てたの、あの人たちだと思うんだけどなあ。
「一人っ子だから、娘も息子も兼ねてるって思えば、二倍お得なんじゃない?」
「お前なあ…可愛げって言葉、知ってっか?」
「知ってる。女としての可愛げは無いかもしれないけど、人としての可愛げは、あると思うの」
天秤にかけたら、断然、人として…って方が大事だよね?
っていうか、人としての可愛げがない人って、もう、終わってるよねー。
関わり合いになりたくない。
向かいの男はため息を付いた。
「…で?今度は何の嫌なことがあったんだ?」
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