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嫌なことなんて、日常生活に溢れている。
でも、愚痴を簡単に零してしまうには、些か私のプライドは高くて 困る。
「…………」
「恵美?」
ダンマリを続けていると、肩に手が伸びてきて。
トン
と押されて、身体が後ろへ傾いた。
ソファーのクッションに背中が付いた所で、影も一緒に折り重なるように降りてきた。
そのまま唇に触れる、暖かなもの。
優しく触れて、啄ばんでいく。
ああ、と。
開けない口の代わりに、内心で溜息をついた。
――ああ、嫌だ。
こうやって、全部飲み込まれてしまうのは。
不安も不満も、言えない言葉も。
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