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「自分のことしかしない。暇でも手が空いてても。他の人が頼んだ雑用はノラリクラリかわして。だから万年、平なのに。妬まれたって知らないわよ。変われるもんなら、役職なんざくれてやる」
そんなガラクタみたいなプライド、切り刻んでゴミの日に捨ててしまえ。
…悔しかったのは、それが、入社時の研修期間、世話になった先輩社員だったからだ。
眼を見ていられなくて、胸板に額をつけた。
眼を合わせれば、情けない自分の面が見えるから。
――ああ、嫌だ。
額に暖かさを感じながら、再び心の内で呻いた。
だから、嫌なのだ。
可愛くないくせに。
柔らかくもなければ癒し系でもないくせに。
私の強張(こわば)った気持ちをこうも簡単に解いてしまう、つい頼ってしまいたくなる、この胸が。
愛しくて、嫌になる。
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