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「「ヴゥ ヴゥ ヴゥウウ」」」
腹の底に響く唸り声。
喉の奥から押し出されるような重低音が、深い森の中に不気味な振動を放つ。
その振動の源に居るのは、獣の皮や荒い目の布を纏った原始人のような格好の人々だ。
彼等が一心に叫ぶ、抑揚を押し殺した声はその場に異様な圧迫感を醸し出していた。
「「「ヴゥ ヴゥ ヴゥウウ」」」
軍隊のように統制の取れた唸り声の合唱、その中心に置かれているのは、両手を背で縛られ呆けた顔をした青年と、抱き枕サイズの発情したイモムシのような謎の物体だった。
青年と物体をを睨みつけ、剣呑な顔つきでうなり続ける彼等は、イモムシのような物体が蠢く度にその表情を険しくする。
それに比例して唸り声も怒気が混じり、次第に周囲の熱気も高まっていった。
「「「ヴゥ! ヴゥ! ヴゥウウー!!」」」
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