110人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
暗澹たる気持ちで宴会場に戻ると……ナルが木山に寄りかかっていた。
「……木山くん。
これはいったい……?」
殴り飛ばしたくなる身体をかろうじて抑え、ナルの横にひざを突く。
ナルは……俺の気持ちなんかおかまいなしに、気持ちよさそうに寝息を立てていた。
「あの、いや、その。
佐々さん、寝落ちしちゃって」
じろりと木山を睨むと、ひぃっと小さく悲鳴を上げて縮こまった。
そんなことにはかまわず、ナルを自分の方へ抱き寄せる。
「くらた、かちょう……?」
ナルの自分を呼ぶ声に、まだ理性が残っていることがわかった。
そのくせ、泣きそうな顔で俺の浴衣の襟を掴んでくる。
そんなナルに。
……俺の方が理性がぶっ飛びそうだった。
「じゃあ、僕は先に、部屋に戻らせてもらうから」
ナルを抱いて立ち上がると、当然注目された。
「あ、私、佐々さんと同じ部屋なんで……」
最初のコメントを投稿しよう!