社内恋愛

9/19
110人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
暗澹たる気持ちで宴会場に戻ると……ナルが木山に寄りかかっていた。 「……木山くん。 これはいったい……?」 殴り飛ばしたくなる身体をかろうじて抑え、ナルの横にひざを突く。 ナルは……俺の気持ちなんかおかまいなしに、気持ちよさそうに寝息を立てていた。 「あの、いや、その。 佐々さん、寝落ちしちゃって」 じろりと木山を睨むと、ひぃっと小さく悲鳴を上げて縮こまった。 そんなことにはかまわず、ナルを自分の方へ抱き寄せる。 「くらた、かちょう……?」 ナルの自分を呼ぶ声に、まだ理性が残っていることがわかった。 そのくせ、泣きそうな顔で俺の浴衣の襟を掴んでくる。 そんなナルに。 ……俺の方が理性がぶっ飛びそうだった。 「じゃあ、僕は先に、部屋に戻らせてもらうから」 ナルを抱いて立ち上がると、当然注目された。 「あ、私、佐々さんと同じ部屋なんで……」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!