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◇
シーンと静まり返った室内。
あたしは俊ちゃんの胸に抱かれたまま涙を流していた。
なかなか止まらない涙に手を焼きながら、そっと俊ちゃんの胸を押して顔を離す。
「陽菜?」
名前を呼ばれて視線を俊ちゃんに向ける。
「うわっ!」
「え、何?」
「目に涙ためて、上目遣いすんな! 誘ってるようにしか思えねえ」
手の甲を口にあてながら顔をそらした俊ちゃんは、横から見てもわかるほど顔が真っ赤。
「さ、誘ってないよっ! でもアイドルの俊ちゃんでも顔が赤くなることあるんだね」
「は? 何だよ、アイドルって」
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