サムライ

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 パンっ、という空気を切り裂くような音。  さすが現代に蘇ったサムライと呼ばれた女子剣道部の主将、手近な箒を使っての、見事な脳天から竹割り。  ブレーカーのように意識が落ちる直前の俺に、捨て台詞のように夏生はまくしたてた。 「わたしが好きな食べ物でカレーってガッカリしたのは、ただ単に明後日の誕生日になんか作ってやろうと思ってたのにカレーなんて手間はかかるし持ち運べないものをリクエストしたから材料揃えなきゃいけないし下拵えしなきゃいけないしあんたん家に行かなきゃいけないからわざわざ確認取らなきゃいけないくて面倒だって思ったからよ! でも、行ってあげるわよ、幼馴染だからね! あー、幼馴染って面倒ね! こんなデリカシーも欠片もなくても、幼馴染だから。でも、チーズケーキありがとうっ」  最後のだけ声の調子が違ったのはなんでだろうと、考えていた。
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