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第5章 宏
「ただいまー。宏おじさーん。」
家に着きおじさんを呼ぶが返事は無い。
「出かけてるのかな?」
家に上がり荷物を片付け、台所へ行くと夕食が置いてあった。今日は帰ってこないようだ。
宿題をし、夕食を食べ、風呂に入る。そして歯を磨く。鏡に映っている自分の目の下に傷がある。
あの日の記憶を呼び覚ましてしまう。
バンと壁を殴る。
「くそが。」
さっさと明日の準備を済ませて布団を敷き横になる。
だんだんと意識が朦朧としてくる。
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ここは何処だ?
「・・だ・・・・ぶ・」
誰かの声がする。目を開けると1人の男性がいた。30代ほどであろうか?
その男性が言う。
「大丈夫だから。」
その一言で悲しくなり涙が落ちた。
なぜだろう。この人の一言一言が温かい。
「普通じゃなくてもいいんだ。みんなと違うからって自分を責めるな。強い男になれ。」
あぁ。思い出したこの人は・・・。
「宏おじさん。」
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目を覚ますと泣いていた。泣いたのはいつぶりだろうか。
「これじゃあ、宏おじさんに怒られちゃうな。」
涙をふき、準備をした。
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