第1章 龍の忌子と少年

2/3
前へ
/17ページ
次へ
「さっさとと起きろ!」 その声で目を覚ます。周りを見渡してみると鉄の柵で囲まれていた。太陽の光は入ってきていない。ここは、地下牢獄だ。 「学校の準備をしろ。急げ。」 そう言われ顔を洗った。 鏡を見てみると、白い髪、黒い瞳、白い服を着て首輪をし、体に鱗がある少女が立っていた。 自分だ。この世界で一番嫌いな人間だ。 いや、人ではない。化け物だ。鱗のある人間など存在しない。 「遅刻するわよ、椿姫(つばき)。」 と女性の声が上から聞こえる。椿姫・・・。自分の名前だ。苗字は何だっけ。 「早くしなさい。」 行きたくないが、荷物を持ち、しょうがなく上に上がる。眩しい。目が慣れ周りを見た。ごくごく普通の一軒家だ。 そこには女性がいた。自分の義理の母だ。確か甲斐・慶子(かい・けいこ)だったはずだ。灰色の髪をしている。慶子が言う。 「いってらっしゃい。楽しい。楽しい学校へ。」 そう言われ外に出る。暑い。今は夏だろうか? 重い足を引きずり学校を目指す。 「はぁ。また、地獄が始まるな・・・。」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加