第2章 助け船

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第2章 助け船

「よし。着いた。」 綺羅は、中学一年生、歳は13だ。 綺羅が学校に着くといろんな人が声をかけてくる。 「「「おはよ!」」」 綺羅はそれに。 「おはよ。」 と無邪気に笑い、教室へと上がる。 綺羅は学校ではかなり人気だ。なにせ、スポーツ万能、成績優秀、そして更には紅い瞳でかなり、美男だ。 教室に入ると、そんな綺羅と正反対の少女が目に入った。 彼女の名は「椿姫」。美少女だが忌子。化け物と呼ばれ、差別をされ、いじめられる。 なのに学校に来るのは、国が忌子を普通の子と同じように扱うという法律を作ったからだ。だが、忌子は差別される。この世界はそういう理不尽なせかいなのだ。 ある少女が言う。 「なんで学校に来てるんだよ。」 ある少年が言う。 「化け物なんだから死んじまえば良いのに。」 綺羅はこの光景を何度も見ないふりをしている。春からずっと。そしてこの光景を見るたび、ある記憶を思い出す。必死に逃げたあの日を。 ---------------------------------------- 「化け物が!」 「死ね」 「さっさと死んじまえ。」 何人もの大人が叫ぶ。 なぜ自分は普通じゃないのか。なんで。なんでなんでなんでなんで。 「なんでなんだよ。」 そこから逃げた。逃げだした。自分が何者かもわからないまま、ただひたすら。 どのぐらい走っただろう。雨が降っている。もう全く力が入らない。 「はぁ。つまらない世界。全部壊れちゃえばいいのに・・・。」 ---------------------------------------- 辛いよな。なら、助け船を出してやる。乗らなかったらずっとこのまま。乗ればその辛さを俺が半分担いでやる。まぁどちらにせよ絶対乗せる。俺がしてもらったように・・・。
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