3人が本棚に入れています
本棚に追加
第2章 助け船
「よし。着いた。」
綺羅は、中学一年生、歳は13だ。
綺羅が学校に着くといろんな人が声をかけてくる。
「「「おはよ!」」」
綺羅はそれに。
「おはよ。」
と無邪気に笑い、教室へと上がる。
綺羅は学校ではかなり人気だ。なにせ、スポーツ万能、成績優秀、そして更には紅い瞳でかなり、美男だ。
教室に入ると、そんな綺羅と正反対の少女が目に入った。
彼女の名は「椿姫」。美少女だが忌子。化け物と呼ばれ、差別をされ、いじめられる。
なのに学校に来るのは、国が忌子を普通の子と同じように扱うという法律を作ったからだ。だが、忌子は差別される。この世界はそういう理不尽なせかいなのだ。
ある少女が言う。
「なんで学校に来てるんだよ。」
ある少年が言う。
「化け物なんだから死んじまえば良いのに。」
綺羅はこの光景を何度も見ないふりをしている。春からずっと。そしてこの光景を見るたび、ある記憶を思い出す。必死に逃げたあの日を。
----------------------------------------
「化け物が!」
「死ね」
「さっさと死んじまえ。」
何人もの大人が叫ぶ。
なぜ自分は普通じゃないのか。なんで。なんでなんでなんでなんで。
「なんでなんだよ。」
そこから逃げた。逃げだした。自分が何者かもわからないまま、ただひたすら。
どのぐらい走っただろう。雨が降っている。もう全く力が入らない。
「はぁ。つまらない世界。全部壊れちゃえばいいのに・・・。」
----------------------------------------
辛いよな。なら、助け船を出してやる。乗らなかったらずっとこのまま。乗ればその辛さを俺が半分担いでやる。まぁどちらにせよ絶対乗せる。俺がしてもらったように・・・。
最初のコメントを投稿しよう!