第2章 助け船

2/2
前へ
/17ページ
次へ
椿姫の前に立つ。すると少女が言う。 「どうしたの綺羅君そんなやつの近くにいたら穢れるよ。」 無視して椿姫に耳元で囁く。 「ごめんな。今まで助けてやれなくて。辛かっただろ。だから今助け船を出してやる。乗れば、その辛さを俺が半分担いでやる。」 綺羅は振り返り今度は、少女たちに言う。 自分の事など省みず。ただ怒りをぶつけた。これで自分もいじめられると分かっておきながら・・・。 「穢れてるのはお前らの方だろ。差別は楽しいか?いじめは楽しいか? そんなやつらは穢れてなくて、何もしていないやつが穢れてるってのか? っざけんな!普通じゃないからってなんで普通になりたいと思っちゃいけないんだ。」 あたりは沈黙した。綺羅が叫ぶ。 「答えろ!ク・・・」 そこで服の裾を引っ張られ言葉を止める。 振り返ると椿姫が泣いていた。綺羅には分からなかった。泣く理由が。椿姫が口を開く。 「・・・なんで・・・。」 その言葉で気づいた。自分が言うとさらにいじめが悪化してしまうという可能性を。 だから、椿姫はいつも、黙っていたんだ、と。 やってしまった。無駄なことをしてしまった。馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ。 「もう嫌だ。」 椿姫手を引っ張り逃げだした。また逃げ出してしまった。 そして、一つ目の鍵をあけてしまった・・ ・。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加