第3章 初恋

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第3章 初恋

学校から少し離れた公園で止まった。 椿姫が言う。 「なんであんな事をしたの!」 確かにそうだ。なぜなんだろうか。 「もう嫌だよぉ」 壊してしまった。くそっ。 これだから自分の手は嫌いだ。なんでも壊してしまう。 「ごめん・・。」 と呟く。そんなんじゃ済まされない事だというのは分かっている。 でも・・。 「わからない。」 なんで助けようとしたのかも、どんな事を言えばいいかも、何もかも分からない。 この世界は分からない事だらけだ。 「あなたまで巻き込まれたらどうするの・・・。関係ないのに。」 と涙を堪えながら椿姫が言う。 関係ないか・・・。 「答えてよ!」 椿姫が叫ぶ。 一つ理由はある。だがあまりにも馬鹿々々しすぎる。それは・・・。 「・・き・・。」 「何?」 「お前が好きだから。」 この感情が理由になるのかは、分からないが、それでも俺は椿姫が好きなんだと思う。 椿姫の瞳から涙がこぼれる。 「なんで私なんかを・・・。誰にも愛されたことなんてなかったのに。」 ---------------------------------------- 「なんで鱗があるの?」 「忌子だ!」 「くるな!。」 「化け物だ。」 いつ言われたのか忘れた言葉。思い出す限り暴言ばっかり。 私が生まれた直後、母親は自害し、お金のために私を引き取った義理の母には、首輪を付けられ地下牢獄に閉じ込められ、沢山の人間に気味悪がられ、恐れられ、差別され、いじめられ、なのに、この少年だけは、愛してくれ、好きと言ってくれた。結果がどうであろうと、私のために怒ってくれて、辛さを一緒に背負ってくれると言ってくれた。こんなに優しい少年に出会えるなんて・・・。神様は、優しく、残酷で・・・。このまま2人でずっと逃げれたら良いのに。今私が言える言葉、言いたい言葉は、 「ありがとう。綺羅。」 ---------------------------------------- 俺はその笑顔を忘れない・・・。
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