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緊張している馬、落ち着かない馬、興奮気味の馬、びびっちゃってる馬、面白がっている馬、妙に冷めている馬、やる気満々の馬、
人間同様に馬にも色々思うところが有るのだろう、その思いの欠片でも感じ取れたらいいなと、僕はいつもそんな事を思ってしまう。
レース開催前のセレモニーも終わり、いよいよ第1レースが始まる。
テレビとは違い、スタンド前の観賞エリアは、馬と騎手の呼び声も聞こえず、意外な程静寂である、観客達のその思いは高まり膨張してゆく、そして、スタートの合図と共に、
爆発かと思う程の歓声と熱気が、出走した馬達と一緒にうねりとなり走って来る、まるでビッグウエーブのように、僕はその波に喜んで飲み込まれる、かつてこれほど熱狂的な応援が出来る物が僕にはあっただろうか、学校、勉強、会社に仕事、異臭騒ぎに、ナツミ、今はその思いも、打ち消された。
「やったーっ」
僕の買った馬が一位を取ったのだ、単勝払戻金は12倍、千円ずつ買っているので、12000円になった。
おお、さい先良いな、これは本当にゲン担ぎの成果かもしれない、これならナツキララのレースも、僕は少しだか、心が軽くなった。
そして、第2レース、第3、第4とレースは進んで、僕は驚いた。
「ハハハ、信じられない」
なんと、これまでの4レース全てが的中だったのだ、4連勝なんて過去に無い、なんという御利益だろうか。
あれ?
確か、なんか昨日、御利益ある出来事があったような、、、神社、そうだ、ギャンブルに御利益のある神社で、おじいさん、袁彦さんに会って、、、ギャンブル運を上げてもらった、、、夢を見たんだ、そうだ、夢、だったのかな。
やけに生々しい記憶を不思議がり、さらに回想とレースの予想を続けた。
その間、第5レース、第6レースも終わり、その両方ともが、また的中した。
す、凄い、ゆ、夢じゃなかったんだ、おじいさん、じゃなくて袁彦、様の言った事は本当だったんだ、百戦常勝、その力を僕は授かったんだ。
未だ半信半疑は拭えなかったが、既に儲けた額は、20万円をとうに超えていた。
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