137人が本棚に入れています
本棚に追加
夜鷹の問いは、それまでのアグリを混乱させた
彼が感じて来た違和感を、そのまま言葉にした発言に
アグリは何とも言えない憤りを覚えた
「…っ如何云う意味だ、夜鷹」
「そのままの意味だよ、お嬢さん」
揺らいだアグリの鋭い気
そこを崩していく様に、夜鷹は語る
「今のお嬢さんは何処か可笑しい。普段なら有りと凡ゆる手段でもって獲物を狩るお前が、何故そうまでして『一人』に拘る?」
「…あれは自分の獲物だ。目をつけた獲物を一人で狩って何が悪い」
「悪いなんて言ってはいない。お前らしく無いと言っている」
その言葉に、アグリがきっと夜鷹を睨んで叫ぶ
「っおまえに自分の何が解る!!」
突然の叫びに、アグリ自身も驚く
けれど、だからと言ってその姿勢を変えるつもりは無かった
「…如何して周囲を頼らない?お前の周りには使える駒が幾つも揃っている筈だ」
「それを使うか使わないかは自分が決める。おまえにとやかく云われる筋合いなど無い」
「常に冷静なお嬢さんなら解っている筈だ。お前の戦闘能力では悪食は狩れない。それ所かお前自身が狩られる」
「解らない奴だな。それを回避する為におまえから情報を聞き出しているんだろう」
「解っていないのはお嬢さんだ。例え情報が有ったとしても命の遣り取りの中では実力がものを言う。悪食を仕留めるだけの腕がお前にあるとは思えない」
論争の平行線
アグリの言葉に、夜鷹は一歩も譲るつもりは無かった
それはアグリ自身も同じ
夜鷹から紡がれる言葉を否定し、吠える
最初のコメントを投稿しよう!