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「ナニサン?」
「・・・えっ・・・?」
「ああー、しおみさん 、 ですー。」
後ろから聞こえる、
ハスキーな声。
に、
思わず振り向く。
ヒタヒタヒタ・・・
パタパタ・・・
小気味よく 重なるふたつの音が、
こちらに近づいてくる。
「汐見さんは・・・
18歳、高校3年生。」
オレンジ色のクリアファイルを開いて、ソコに目線を落としながら、続ける。
「お~ 高校生!」「で、社員の、
山内さんと、碧山さん。」
山内さんの言葉を遮るように、続ける、ハスキーボイス。
――もとい、
面接官の三ツ木さん。
しっかりマスカラで上げられたまつ毛に
切れ長の一重の瞳が
ちらっとこちらに目配せする。
その視線に、思わず見開いた目を 左右させながら考える
ーーそうだ、挨拶!
あわてて 社員さん二人に向かって、
ペコッ、ペコッと、お辞儀をする。
「しおみさん、求人見て来たの~?」
「あっ・・いえ、知人の紹介です。」
「そっか~。まあ、そーだよね~」
始終ニコニコと感じがいい。
あまり背は高くないが、
スリムな体型に、
ダークグレーのスーツと、
ベビーピンクのネクタイ!
――なのに、
きれいに整えられた黒髪にとても似合って、
すっきりと着こなしている。
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