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「山内さんー、高校生、大丈夫?」
「まあ、オープニングの3ヵ月だけだし、大丈~夫じゃない?」
「はーい。じゃあ、
次に来る日は、又、連絡しますね。」
「はい、じゃあ、そう言うことで、よろしく~」
ニコニコ顔で
ヒラヒラと手を振り、
2つづつ相向かいに4つ並べてある、奥のデスクへ戻っていく。
―――えっ?
・・・採用?
って、ことだよね??
「あ、りがとう ございます!よろしくお願いします!」
あわてて、ガバッと、90度のお辞儀をして、
顔を上げたときには、
もう、山内さんは、
デスクチェアから身をのりだし
ぶつぶつ言いながら
パソコンを食い入るように見つめていた。
「お疲れさまー」
艶々のピンクベージュのネイルに
ラインストーンがキラリと光る細い指で、
さらさらのブラウンヘアーを撫でるように鋤きながら、
フワリと胸元に落とす。
「あっ、アリガトウゴザイマシタ!」
ふわっと甘いフローラルの香りを振りまきながら遠ざかる後ろ姿に
深々とお辞儀をする。
顔を上げると目の前には、白いシャツ。
ふいに見上げると、
また、
バチッと絡む、 射るように見下ろす 黒目がちな視線。
!わ「おっ ! つかれさまです!」
ペコッとお辞儀をして踵をかえし、クイッとメガネを直しながら、玄関に続く扉を開ける。
もう一度室内に向き直り、
軽く頭を下げながら挨拶する。
「失礼しま」「お疲れ、しおちゃん。」「ス・・・」
パタンと閉まるドアの隙間から
ソフトな低音ボイスが響いた。
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