お墓に眠るもの

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~~~~~ 「して、お主は生前、自身の幸せのために、人を陥れた。 これは許しがたき所業である。 よって、大叫喚地獄、吼々処送りとする! 刑期は6821兆1200億年。 では、次の裁判にまわせ」 「ま、待ってくれ! そんなに長い間罰を受けるなんて、おかしいだろ!? ほんの出来心で……」 「うるさい!その出来心で傷付いた人が大勢いるのだ。 いかに喚こうとも閻魔庁の判決は覆らぬ。 何か申し開きがあれば、次の裁判で言うがいい。 では、次の者をこれへ」 なおも大声で喚く男を、異形の怪物がどこかへ連れていく。 口からのぞく大きな牙。 丸太のように太い手足。 なにより、頭から鋭く生えた角は、まさしく鬼。 ーーそうか、ここがあの世の裁判所か 死した後、人は十王の裁判を受け、善人は天国へ、悪人は地獄で永遠にも近い時の中で罰を受け続けるという。 「ほら、次はお前だ!」 鬼にせっつかれ、私は裁判官の前に立たされた。 熊よりも大きそうな体。 威厳ある顔。 恐ろしげなのに、どこか慈悲深さを感じるこの裁判官。 すでに、ここまでに四回も裁判を受け、その度に違う王を見た。 しかし、目の前の彼は、その誰よりも偉大だ。 ーー十王の長、閻魔大王。
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