お墓に眠るもの

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あぁ、ついに自分の番か。 自分の名前を読み上げられるなか、生前の行いを回想する。 この名前に誓って、大きな悪いことをした覚えはない。 されど、無意識に罪を犯していたかもしれない。 ならば、自分はどんな罰を受けるのか? 恐る恐る閻魔大王の前に立てば、大王の鋭い眼光が自分を射ぬく。 金縛りにあったかのように動けない。 やがて、上から下まで観察をしていた大王が、ゆっくりと、大きな、重い声を放った。 「主は、生前、その名において大きな罪を犯す事はなかった。 が、罪を犯していないわけでもない。 その事、認識しておるか?」 威厳ある声に、ただ、頭を縦に振る。 「よろしい。 では、ここでの判決は、奉仕活動に三年従事した後、天国行きとする」 あぁ、なんとも慈悲深い判決なのか。 これで、自分は奉仕活動さえすれば天国に行けるらしい。 耐え難い、永遠にも等しい責め苦を想像していた私は、安堵した。
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