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「はい」
顔を伏せ、震えながら答えるしかない。
「うむ。
さて、主は生前、目立った悪いことはしておらぬ。
が、それは"主の名前"の人物である」
「はい。
私は、双子の弟を殺害し、長きに渡り、弟に成り代わって生きてきました」
「と、なれば、その罪を償わねばならぬ。
実の弟を殺害し、長年に渡り成り済ましていたその罪は極めて重い。
また……」
長々とした話を 最後まで聞くまでもない。
しょせん、偽者の末路など決まっている。
もし、弟を羨むことなく、素直に祝福出来ていたならば、どうなっていただろうか?
成り代わって過ごした日々は楽しくもあったが、酷く空虚でもあった。
何をどうみても、しょせんは他人事にしかなり得ない悲しい日々。
弟に成り済ますことは出来ても、弟に成りきる事は不可能だ。
辛くとも、自分の名前で生きていれば、もっと笑うことも出来ただろうか?
もはや、今となっては、わからぬか。
「~~ゆえに、主の判決は阿鼻地獄いきとする」
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