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キーコがU字ハンドルを手前に引くと、四駆はやや上を向いて上昇をはじめ、
しばらくしてそれを水平に戻し、そうしてから右に回すと、四駆は右へと飛行して行きました。
「アニー訊くけど……」
「うん?」
アニーは顔をちょっと挙げて振り向きました。
「姉さんの名前はなんて?」
「ジョリーだよ!
久しぶりだよジョリー姉さんの名を口にするの!」
「ジョリー姉さんかぁ。
優しいんだろうなぁジョリーさんは」
「ぅうん!」
二人の会話をトートは黙って聞いていました。
「アニー、ジョリー姉さんと再会したなら」
「もちろん! 戦争の無い日本と言う国で暮らしたいんだよ!」
生き生きと話すアニーを、キーコはチラリと垣間見るのでした。
「そうか……」
「でも……キーコ姉さんと別れるの寂しいよ」
「えっ、あたしと寂しい……
何を馬鹿なことを言うんだいアニー、
あたしはお前を助けて大きくしただけだよ、愛なんかちっとも……………」
「どうして黙るの? 愛がどうしたのさ、姉さん!?」
キーコは別世界でのアニーのことを想いだしていました。
「どうもしないよ!
アニーそろそろ次の街が見えてくる頃だよ」
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