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キーコは押し黙ったまま四駆の外に出ようとはしませんでした。
「姉さんどうしたのさ?
さっきから黙り込んでおかしいよ」
姉を捜す言い出しっぺのキーコは、
時間が経つにつれて、それはアニーとの別れを意味しているのでした。
………別の世界で、アニーと愛し合ったことが忘れられない………
もちろん別世界での出来事は、アニーは知る余地もありません。
「アニー元気いいね……。
姉さんと逢えるのが嬉しいかい」
「もちろんだよ姉さん!
でも、姉さんがどうして過去へ行かないの分からないけど、
行かないと聞いて、姉さんには悪いけど、僕は内心とても喜んだんだぜ!」
「あはは……正直な奴だなお前は」
「でもさ姉さん、どうして過去に行かなくなったの?
あんなに行きたがっていたのに!」
キーコは言葉に詰まりアニーを見つめました。
「アニーは女性を好きになったことあるかい?」
「僕が女性を?
僕は脚を負傷して顔を火傷して……それから姉さんに助けられて……
え~~とずっと姉さんと一緒で、姉さんは大好きだよ!」
「……そうだね。
姉さんもアニーが大好きさ」
キーコは小さな溜め息をつくと、四駆のドアを閉めて外に出ました。
「お帰りなさい、キーコ様、アニー様」
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