18人が本棚に入れています
本棚に追加
´
四駆はしだいに速度を増して一直線に進んで行きました。
「秒速二百メートルの速度について来られっかなトートは?」
アニーは得意気な笑みを浮かべて、そう言うのでした。
「アニー上だよ」
「上……?」
アニーは傾(かし)げた首をフロントガラスに寄せて見上げました。
「ああっ!」
アニーは寄せた首を元に戻して、キーコを振り向きました。
「姉さん、トートの奴並んで飛んでるよ!」
「並んで?
アニー前を見てみなよ」
「えっ」
アニーが首を戻して見たものは、トートが茶化しながら追い越して行く姿でした。
「まじかよ」
「やはり新トートはちがうわね。アニー運転替わろうか?」
「結構です」
アニーはそう言って速度を増しました。
「おっ、見えてきた、見えてきた!」
アニーは更に更に速度を増しました。
「トート! この四駆は、速度にはまだまだ余裕があるんだぜ~~~!」
四駆はトートに近づき、並び、そして追い越しました。
「どうだーーーいっ!
(振り向いて)
姉さん、トートなんか軽いもんだろ!」
「どうかな……」
アニーが前を向くと、直球ボールが伸びるようにして四駆を追い抜くトートの姿がありました。
´
最初のコメントを投稿しよう!