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「ここら辺りが国境よ。
この四駆はレーダーには反応しないから悠々と行けるわ」
遠くに黒々した街が見えて来て、二、三の煙も上っているようでした。
「姉さん、あれは僕の生まれ育った街だよ!!」
「アニー良く覚えていたわね」
「私も覚えていますよ。私がジャッキを運んで……」
「そうだったわねトート」
四駆は高度を下げると、アニーを助けた処へと向かいました。
「何よこれ、これがアニーを助けた場所なの!?
ずいぶんと荒れ果てたわね」
「影も形もありませんね」
「僕が幼い頃、両目で見た時よりも酷くなってるよ!」
「地震と竜巻と津波が一緒に押し寄せみたいですわね」
四駆は人影のない荒涼とした街を過ぎて人が住みそうな処を探しました。
「姉さん、あの瓦礫の街は反政府軍が住んでたんだよ。
けど今は誰も居ないよ。みんな殺されたのかな!?」
「死体すら見当たらないね。テレビじゃ政府軍の有利と報じてたわね」
「キーコさん、どうやって捜しだすの?」
キーコはアニーと運転を替わると、上昇を始めました。
「ここからだと見晴らし良いわね」
「見晴らし良いけど、高過ぎて人の姿は見えないよ」
「見えなくて良いのよ。血液で捜すから」
「血液で? どうやって?」
「分かったわ。D……何とか言うのよね」
「そうだよ、DN……何とか言う奴だよ。
アニーその青いボタン押してご覧」
アニーが青いボタンを押すと、
フロントガラスが暗くなり小さい光があちこちで点滅を始めたのでした。
「何だよこの点滅は?」
「分かりました。
この点滅は人の血液の反応ですよね」
「そうだよ、人の血液反応さ」
「いっぱい点滅している処は、人が大勢居るということ」
「そうだね……
アニーの家族は反政府軍だったわね。
姉さんは政府軍に拐われたんだっけ」
「キーコさん、あそこは政府軍の街ですわよ」
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