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「あ、頭がいてえ!!」
びりびりと体に響く青鬼の覇気に当てられ、頭を抑える者や吐き気を訴える者が次々と現れ、その場に崩れるように倒れ始めた。
青鬼を襲ったにんげんたちが全て倒れても、青鬼が咆哮を止めても、大粒の涙だけは止まらずに流れ出ていた。
手の中のタキはまだ温かい。
なのに、もうその笑顔を見ることはできないのだ。
次第に青鬼も体が痺れて、タキを落とさぬようそっと柔らかな草の上へと降ろした。
何百年もひとりだった。タキと過ごしたのは、その中でもわずかな時間。そのひと時だけで十分だ。
「タキ、ありがとな」
青鬼は小さなタキの頭を撫でてから
目を閉じた。
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