泣いた青鬼

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あーん あーん あーん…… 「にんげんの子供……?」 青鬼は体を起こし、耳を澄ました。 やはり、泣き声が聞こえる。 戸板を開け、外に出ると、獣たちは一斉にその場を離れた。自分たちより強い青鬼が分かるのだ。 しかし、件の泣き声は同じ場所に留まったまま。 暗闇を歩くと、泣き声は近くなった。 そして、大きな赤松の根元に、声の主は居た。 「やはり、にんげんだ……」 赤松の下で小さな体を更に小さく丸めた、にんげんの幼女がそこに居た。巨躯の青鬼から見れば、その大きさは野うさぎのよう。 泣き疲れたのか、青鬼が着いた時には弱々しい泣き声を引きずりながら、眠りに落ちていた。 さて、どうしよう。 ここに捨て置けば、狼の群れに見つかるだろう。 さりとて連れて帰れば鬼の姿を見て泣き叫ぶだろう。 青鬼はしばらく悩んだが、狼の遠吠えが山中に響きわたった。にんげんの子供の匂いが風に乗って狼の元へ行ったのだ。青鬼がここを離れたら、この子はすぐに食われてしまう。そうすればまたにんげんが森の獣を殺しに、集団でやってくるやもしれん。 青鬼は仕方なしに、両手で子供をすくって小屋に連れ帰った。
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