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「泣く原因は、家族の元へと帰りてぇと」
「ならば返してやればよい」
「だが、タキは目が見えん。それゆえ、捨てられた子だ」
「ならば、目が見えるよう取り戻してやればよい」
ふわりと、なんの重みも感じさせない動きで、天狗は青鬼の元へと降りてきた。
「お前は鬼であろう。誰ぞの目玉を取り、その童へと与えればよい」
「出来るのか」
「鬼ならば、心や体を奪うのも、他の誰ぞに与える事も、容易い事」
青鬼は考えた。
たきの目を見えるようにしてやりたい。
しかし……。
俺の醜い姿を見て、どう思う?
人ならぬモノとずっと居たのだと知ったタキは、どう思う?
己の欲とタキの涙が、青鬼をぐるぐると混乱させた。お前を棄てた親なのに、まだ会いたいと泣くのか。
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