7人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「……俺の顔など見んでええ」
「なぜじゃ」
「俺は……醜い」
その一言で、タキは青鬼の肩に座ったまま、青鬼の顔をぺたぺたと触り始めた。顔の上を這い回る小さな手にジッとしていると、タキは「大丈夫じゃ」と笑った。
「ゴンベは、優しい顔をしとる」
優しい声色に、青鬼は込み上げるものをグッとこらえた。
「……おとうと、おかあに会いてえか」
真っ白な月は赤松から離れて更に上へと上がる。
上へとあがり、もう松の小枝も届かない。
でも、月は遠くでも松を照らしてくれる。
離れても、そこに居る。
そこに居るなら、それで良い。
タキが小さく、けれどはっきりと言った。
「会いてえ」
最初のコメントを投稿しよう!