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〇駅前 (朝)
駅前の小さなスペース。
通勤する人の波。その波に逆らい、下 を向いてトボトボ歩く達也。手に握ら れた鉄パイプ。立ち止まる達也。
顔を上げ周囲を見回す達也。
通勤する人の波。
達也、大きく息を吸い喋り出す、
達也「皆さん、おはようございます。今日も一日頑張りましょう!」
達也を避けるように歩く人の波。
達也「僕はもう頑張れません!なんかぁ、なんかどっちもこっちも世の中っておかしくないですかぁ?なんかぁ、みーんな自分のことしか考えてない気がするんですよねぇ、そう感じませんかぁ?」
白い眼で過ぎていく人の波。
達也「でもね、でも、僕のねぇちゃんは違うんです。自分のやりたいことやめて、ニートだった僕を食べさせてくれたんです。『新しい人間』ってヤツですよ。すごいんです」
手に持つ鉄パイプを掲げる達也。
通行人の声「ば、爆弾だぁ」
悲鳴と共に散る通行人。
達也「だから、みんなねぇちゃんみたいになればいいなぁと思うんです。でも、そんなの無理なんです。だから、僕の死が皆さんの何か役立つんじゃないかなぁと思うんです」
達也、起爆ボタンを押そうとするが押せない。
達也、逃げる人々の隙間からランニングする香を目にする。
ランニングする香、騒ぎに気付き立ち 止まる。
鉄パイプを持って立つ達也。
達也「ねぇちゃん、走ってたんだ。よかった」
笑顔で起爆ボタンを押す達也。
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