新しい人間

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目を覚ます香、目をこすりながら、 香「あっお帰り」 香の向いに座る達也。 達也「なんだ、また飲んでんの?」 香「うるさい!死ね」 達也、笑いながら、 達也「死なないけどさ、また何か言われたの?」 香「ちょっと聞いてよー、あのクソババぁ『走れなくなった途端に出向だって、みじめよねぇ』とか言いやがって同情したふりして喜んでるくせにさ、おねぇちゃんが走ってた時はチヤホヤしてたくせにさ、ほんっとムカッつく、好きで走れなくなったんじゃねぇっつうの、あーもう仕事やめたい」 達也「おかしいよね?世の中ってさ」 香「あんたもそう思う?そうでしょ?おかしいでしょ?あんたもさ好きでニートやってたんじゃないでしょ?そういう人には優しくないの!世の中って」 達也「うん、おかしいと思う、だから変えたいんだ『新しい人間』に」 香「ん?なにそれ?」 達也、話を逸らすように、 達也「ねえちゃんさ、もう一回走ったら?実は治ってるんでしょ?足。俺はさぁもう大 丈夫、バイトもしてるしもうニートには戻らない。やりたいこと・・・やらなきゃいけないこと見つけたし。俺のために走らないんでしょ?走ってまた怪我でもしたらって考えて、俺引きこもってたし」 隣接する部屋にある、中山武(享年5 8)と中山裕子(享年50)の遺影。 達也「ありがとう、ほんと、走ってよ」 香「何よ、気持ち悪い。だいたいさーニートって言葉がいけないんだよねー、だから増  えるんだよ」 達也「なんで?」 香「だって、横文字でちょっとかっこいい」 達也、笑いながら、 達也「なんかバカっぽい」 香「うるさい!死ね!」 笑う達也。 〇同 外観 (朝) トレーニングウェアを着た香が階段を 降りてくる。 〇道路 (朝) 道路に出てウォーミングアップをする 香。 香「達也も頑張ってるみたいだし、おねぇちゃんも負けてらんないよね」 走り出す香。 〇コンビニ  入口上に『ビッグストップ』の文字。 レジで働く達也。雨が落ちてくる。 〇アパート 外観 (夜) 普通のアパート。 雨の中傘をささず階段を上る達也。 〇同 玄関 外 (夜) 玄関の前に立つ達也。呼び鈴ボタンを を何回も押す。 ドアが開き横田が顔を出す。 横田「なんだ達也君か」 達也「上がっていいっすか?」
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