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返事を待たず部屋に入る達也。
あきれ顔の横田。
〇同 横田の部屋 (夜)
普通の1Kの部屋。
入ってくる達也。後に続いて入ってくる横田。
達也「いやー土砂降りっす、参りました」
横田「んで、何しに来たの」
達也「いや、ラインしても電話しても出ないから警察掴まっちゃったかなぁとか、死んじゃったかなぁとか、思っちゃって。それに次の集会の予定も決めなきゃとか思って」
横田「・・・」
達也、部屋を眺め回し、
達也「あれぇ、チェ同志のポスターどうしたんすか?」
横田、床に座り、
横田「やめた」
達也「へ?何を、ですか?」
横田「活動」
達也、座りながら、
達也「もう、またぁ、冗談言ってぇ」
横田「マジ」
達也、真顔になって、
達也「どうしてっすか?」
横田「就活あんだ」
達也「就活って、じゃあ革命どうするんすか?横田さんカストロで俺はチェだっていっ
てたじゃないっすか?」
横田「日本じゃ革命なんて起んないよ、見たろ駅前の通行人、見向きもしない、なんだかんだ言って不満なんて、この国にはないんだよ」
達也、横田にすがって、
達也「じゃあ、『新しい人間』どうなるんすか?俺、どうなるんすか?俺、これなくなったらどうなるんすか?」
横田、達也を突き飛ばして、
横田「知らねぇよ!」
突き飛ばされ仰向けになる達也。
横田「元々、遊びだよ、遊び。刺激が欲しかっただけ、それにぃ就活で話のネタになるかなぁくらいのもんだったんだよ」
達也「そんなぁ、そんなぁ俺・・・」
横田、棚に置いてあった短い鉄パイプを取り、達也の胸元に押し当てる。
横田「はい、これ、花火の火薬で作った爆弾ね、ほらここな、ここ押せばボカンな、これで革命でも起こしてよ、なっ、だから、早くこれ持って帰れよ」
横田、達也の首根っこを持って玄関へ 引きずる。
暴れる達也。
〇同 玄関 外 (夜)
土砂降りの雨。
ドアが開き転げだしてくる達也。
ドアから顔だけ出す横田。
横田「じゃあな、ニート崩れのチェ同志」
閉まるドア。
蹲り泣く達也。
〇中山家 中 (朝)
台所に立つトレーニングウェアの香。
玄関に向かう途中、誰もいない達也の
部屋が目に入る。
香、首を傾げ玄関に向かう。
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