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「秋月さんスミマセン、騒がしくて……もう出ますか?」
「和音でいいです、こういうの楽しそうブッ!」
まだ話してる途中なのに湯を思いっきりかけられ、肩に下げたタオルまで濡れている。
「少年ウチの百合ちゃんと気安く話して貰っては困るな、勿論瑠里ちゃんともね」
いつの間にか近くにいる八雲さんの仕業だったが、和音さんはニコッとしたまま湯に浸かると、倍くらいのお湯を仕返しにかけ始めた。
「ちょ、ちょっと!」
リーダーもヘルプに回り景色を楽しむどころの騒ぎじゃなく、終いには瑠里が和音さん側に入り、二対二プラス二匹で八雲さん達が押されていた。
「……おい、お前ら。他の客人の迷惑になるからもう止めろや!」
少し大きめな声でそう言うと皆の動きがピタッと止まり、誰がこんな事始めたのと瑠里は澄ました顔で脱衣場を目指している。
後に続いて中に入ったが、社長と照ちゃんまで大人しくお湯に浸かっていた。
脱衣場の近くにあるシャワー室に入り、髪を乾かし浴衣に着替えると、入り口に艶々とした毛並みのイナリがお座りをして待っていた。
「何これ?メチャ綺麗になっているんだけど」
「犬はトリートメントでもされるのかな?」
脱衣場を出ると広い休憩スペースなっていて、アイスクリームや大きなガラス張りの冷蔵庫の中にジュースが陳列されている。
私達は迷わずフルーツ牛乳を掴み、イナリはよく分からない飲み物を口に咥えていた。
大勢座れる椅子で瓶の蓋を開けていると、イナリはテーブルのある椅子に登り、トレイに飲み物を出してから上品にペロペロと舐め始めた。
「育ちの違いが凄いんだけど、イナリかなりボンボンなんじゃない?」
ウチで育てて大丈夫かなと言いつつ、飲み終わった妹はソフトクリームに手を出しスプレーを振り食べているので、苺とチョコアイスを皿に乗せ、隣に座った。
「姉さん、イナリが下からガン見してる。アイス欲しいんじゃないの?」
ふくらはぎに前足を乗せハッハッしながら覗きこんでいるので、仕方なくお皿を下に置き、同じアイスを取りに行った。
暫くすると和音さんが犬を連れて入って来て、手招きすると静かに横に座り、コーヒー牛乳を口にしていた。
犬はイナリが飲んでいた物を選んで、同じようにペロペロ舐めているので、さり気なく照ちゃんの居場所を聞いた。
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