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「多分キャバクラに行くつもりで、おめかしでもしてるんじゃないですかね?」
恐らく社長もメンバーの一人だと思われるので、晩御飯もどうするのか聞いてみる。
「適当に食べに行こうかと思ってます」
私達は木村さんが何とかしてくれると思うので、良かったらご一緒しませんかと誘った所で邪魔者が割り込んできた。
「その必要はない、コイツはここの住民で、場所も知ってるから心配しなくてもいい」
リーダーがドカッと座って来たが、手にはバニラアイスに苺ジャムがたっぷりと乗せてあった。
ガツガツと一気に食べてしまうと「行くぞ」と言われ、残りの苺アイスを出来るだけ口に頬張る。
和音さんにお辞儀をして去ろうとすると、妹は気が済むまで食べたのか、お腹をさすりながら近づいて来た。
「木村さんなんか作業してて、社長達は出かけるみたいだし、仮眠して腹が減ったらルームサービス頼んだらいい」
てっきり外食だと思ってたのに、こんな事なら和音さんと出かけた方が美味しい物を教えて貰えたかもしれない。
部屋に戻ると妹は満足そうにベッドに入りすぐに目を閉じてしまい、イナリも隣で毛繕いをし寝る準備に入っている。
私は横にはなったけど眠れそうになかったので、準備されたバッグを探りデニムとTシャツに着替え部屋を出た。
パンフレットを見た限りだと屋上に展望台があったので、さっきは景色を眺め損ねたし丁度いいと思いエレベーターに乗った。
夕食時なのか誰もおらず、海が見える場所を選んでベンチに腰をかける。
先程までの出来事が夢だったように、穏やかな水面と太陽が沈みかけている光景はとても綺麗で、それだけでここに来て良かったと思える。
日が沈み辺りは暗くなったがその場を動かずじっとしていると、心地いい風と微かな波の音が落ち着くので、目を閉じ更に聞こうとしていた。
「ここの景色は素敵ですが、山側もいい所は沢山あるんですよ?」
真上から声がしてギョッとして見上げると、凱が頭上の柱に座りながら寛いでいた。
「い、いつからそこに居たんですか?」
「念の為、無事を確認しておかないと後味悪いでしょ?アナタは何となくここに来そうなんで様子を伺ってたんですよ、気が合いますね」
正面から顔を見てないのでまだ話せるが、この悪魔も背がかなり高いので威圧感は半端ない。
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