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「まぁ、辞めたくなって生活の心配とかあるならウチに嫁に来てもいいし」
「おいっ!期待の超大型新人になんて事言うんじゃ!」
「お前にとやかく言われる筋合いはない」
ヒートアップするじじい二人の手を取り、年寄りが長居して風邪でも引いたら困りますと引っ張る。
年寄り扱いは止めてと、声を揃えて否定されたので相当嫌らしい。
その日は凱に貰ったむすびを部屋に持ち帰り、スプレーをかけ寝ている妹達の枕元に置いておいた。
途中起きたら勝手に食べるだろうし、眠った時に起こされても迷惑だからだ。
案の定作戦は成功し朝までぐっすりと眠れ目を覚ますと、むすびは全部消えていて、妹は着替えまで済ませていた。
「おはよ、どっか行ってたの?」
「ふふっ、イナリと朝風呂行って日の出でも見てやろうと思ってさ、風流だったよ」
妹なりに起こさなかったのは気遣いだったらしく、ゆっくりと起き上がり支度を始める事にした。
皆でロビーに集まるとずっと胸が弾んでいたのは、やっとパスタにありつけるからだ。
まだランチではなく思いっきり朝食の時間だが、この際そんな事はどうでも良かった。
「百合さんが楽しみの場所に行きましょうか」
ワンパスタはホテルの隣で朝から開いているらしく、可愛い犬のマークの旗が目印で、この時間帯は空いてるらしく並ばずに入る事が出来た。
大きめのテーブルに全員で座ると、私の隣は妹と滋さん正面には社長と照ちゃんと和音さん、脇にはリーダーと八雲さん木村さんが席についた。
私の注文は決まっているので社長は瑠里に希望を聞くと、イナリとメニューを見つめていたが、パタンと畳む音で決定したのが分かる。
「カルボナーラにします!」
朝からこってりした物頼むなと心配していると滋さんが、それ啄も気に入ってるけど濃い味好きなのと聞いていた。
『止めて!メタボと同じ味覚になるのは!』
心の中でそう叫んでいると、その他全員はみんなワンパスタを注文するようだった。
犬螺眼は心配しなくても大丈夫と滋さんが耳打ちしてくれ、知っていたが一応頷いておいた。
そういえば瑠里さんもお守り貰ってるけど大丈夫かと聞かれていたが、家にありますとサラリと言われ皆無言になった。
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