ワンパスタ

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騒がしい食事会は終わり私達は職場へ、八雲さんは任務へ、秋月親子は見送りをしてくれた。 パネル部屋を通りシャワーを浴びると、ようやく帰って来たという気持ちになれた。 受付では木村さんがいつものように笑顔で立っていて、荷物を渡し帰ろうとするとコーヒー飲んで帰ってと部屋を指示された。 お言葉に甘える事にしドアを開けると、メロンパンを頬張っている田村さんの姿が見えた。 「お帰りなさい、大変な目に遭いましたね」 強面で低い声だけど、思わず駆け寄ってつなぎの腰辺りを握りしめていた。 田村さんは頭をポンポンと軽く叩くと、椅子を引いてコーヒーを勧めてくれた。 「大変だったんですから。般若は捕まるし、離れ離れになるし崩れた床に蹴り落とされるし!」 妹がまくし立てるように話をしても、田村さんはたまに苦笑いをしながら静かに聞いてくれていた。 私も沢山聞いて欲しい事があったが、妹の手前我慢するしかないので、コーヒーを飲みながらタイミングを見計らっていた。 「駆けつけたかったんですがかなり手こずりましてね、報告を見ましたが全滅させたみたいですし、お二人も無事で何よりでした。百合さんは又凱と会ったらしいですね」 「まぁ、成り行きですけど」 「恐ろしい種類の者達ではありますが、今はきちんと生活をしてますし、ただ月影家が気に入ってるようなので……注意して下さい」 頷くとイナリを連れた滋さんが入って来て、瑠里にリードを預ける。 今度パスタ行こうね、照ちゃんの行った事は忘れていいからと釘を刺してから部屋を出て行った。 「滋は次の任務に向かってしまいましたが、私も明日から又出かけるんですよ」 引き止めても悪いし、話は今度にしようと部屋から出ようとすると、木村さんと社長が入って来た。 「ホントお疲れ様でした、これ社長からお母さんに。お土産買えてないでしょ?」 上品な縦長に入った箱には『水ようかん』と書かれていて、母の好物でもあるし季節的にもいい土産になる。 「母好きなんで、助かります」 ドラム缶の喜ぶ顔が目に浮かび、機転の利く木村さんには感謝して止まないが、次に小さな包みとそこそこ大きい包みが目の前に置かれた。
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