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「これも社長から、百合ちゃんが欲しい物買うって約束だったでしょ?」
「いえっ、もうそれはいいです!ようかんも貰ったし十分です」
包みを差しだすと、妹には腕を取られ社長には押し返された。
『キ、キツネ二匹の息が合ってる』
「せっかくの好意は無駄にしたら勿体ないよ、気持ちも含め有難く頂いておこう」
「そうじゃとも、選んだのは木村さんだからきっと欲しい物だと思うよ?それにこれで少しはお詫びが出来るから受け取って欲しい」
田村さんにも頷かれその場で包みを開ける事にしたというより、妹が先に開けていた。
「うわっ、欲しかった斜めがけのバック!」
荷物が多い妹はナイロン製の軽いバッグを欲しがっていたが、これはブランド品でコンビニでファッション誌を立ち読みした時に見た事がある。
十六歳が持つには勿体ないが、木村さんが選んでいるので似合う物がチョイスされていた。
「姉さんも開けてみれば?」
小さな包みを開けるとキラキラしたゴールドのネックレスで、ダイヤが一粒ついていて華奢な感じがとっても好みだ。
「……可愛い!」
テンションが上がって眺めていたが、箱の名前を見るとこれもハイブランドで恐らくバッグより更に値が上がり何となく恐縮する。
「こんな高価な物貰ってもいいんですか?」
妹は気づいてないが私は雑誌で値段を見てしまっているし、貧乏人の生活環境上高価な物を貰うとビクビクしてしまうのだ。
「百合さん達になら全然構いませんよ、木村さんにもプレゼントした事ありますから、どうか気になさらず」
サラッと言われると社長が少しジャントルマンに見えてくる。
ハッピーのチケットの時はあんなに勿体付けていたのに、こんな高額な物スンナリ渡してくれる思考がイマイチ読めなかった。
私達はクリスマスの帰り道の時みたいに、気分を弾ませ家路につく。
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