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「あの、よかったら、一緒にお茶でも飲みませんか。」  ナンパされた。  人生で初めて。  駅へと向かう道の途中、後ろから肩を叩かれて、真琴は振り返った。書店の袋を胸にぎゅっと抱えたまま振り返った真琴の目に飛び込んできたのは、背が高くて、顔の小さいとてもスタイルのいい女の人だった。  これは、ナンパ・・・なのだろうか?声をかけてきたのは、どう見ても女の人だ。それもすごくキレイな。モデルさんか、女優さんか・・・。 「少しだけ時間ないかしら?」  美女に微笑まれて、思わず見惚れてしまった真琴だったが、すれ違う人々の視線を感じ、 「えっと・・・い、急いでいるので!!」 混乱する頭からようやくそれだけ言葉にすると、全速力で駅へと駆け出した。  一体、何だったのだろうか?  真琴は混乱する頭を押さえ、乗り込んだ電車のドアに体を預けると、電車の揺れに合わせて呼吸を整えながら、「ナンパ」の定義について考えていた。  真琴が考える「ナンパ」の定義。 その一、知らない人に話しかけられる。・・・あれは、全く知らない人だったよね。うん。 その二、お茶に誘う。・・・誘われた。「一緒にお茶でも」って。 その三、異性に対して行う。・・・これだ。これが違う。あれはどう見ても女の人だった。それもとびきりの美人。  結局、何だったのか・・・やっぱり、よくわからなかった。
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