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途中から……ううん、最初から涙が次々とあふれてきて、読み終わる頃には顔中が涙や鼻水でいっぱいになっていた。
そんな汚い顔なのに、俊ちゃんはあたしを自分の胸の中におさめる。
「俊ちゃ、汚いよ……服が、汚れちゃう」
「汚くねえよ。陽菜のその涙は、おじちゃんやおばちゃんを想った綺麗な涙だろ?」
「でもっ、鼻水もっ……」
「鼻水も一緒。綺麗だから大丈夫だよ」
そう言って、あたしを抱き締める腕にぎゅっと力を込める。
あたしもつられるように、俊ちゃんの背中に腕を回してしがみつく。
俊ちゃんのリズムのいい鼓動を聴いていると、気持ちが少しずつ落ち着いてきた。
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