プロローグ

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「興味深い事件だ!」  周囲にいる関係者たちの喉を鳴らした。 「興味深いって・・・、あなた」 「アンタ!元刑事だろ。被害者の立場にもなって物事を発言しろよ」  今にも殴りかかってきそうな雰囲気の中、一人冷静に事件現場を観察する探玄の隣で立ち尽くす偵川は、蓮澄が困り顔を作りながら周囲の関係者を押さえ込んでいる姿に微笑んでいた。 「ちょっ、ちょっと先輩!揉め事を起こしてほしくて呼んだんじゃないんですから・・・」  蓮澄は必死に関係者を押さえ込んでいる。 「わかっているさ。もう、この事件の謎は解けた」 「・・・・!」  周囲の人々の言葉が沈黙する。 「・・・本当ですか?」 「あぁ・・・、本当だ。レストレイド君」 「ハスズミです・・・。先輩・・・」と蓮澄は呆れ顔を作って見せた。 「また、始まったか・・・」と偵川も呆れ顔を作って見せる。 「何だ・・・?何か不満でも?」と探玄は悠長な口調で話を続ける。 「何でも無いよ・・・。ホームズ君・・・」  内心、蓮澄はこの『妄想の世界』のせいで警察を辞めた事に少々納得がいかなかった。  警視庁捜査一課のエースとして活躍をしていた探玄だが、事件解決に忙しかったせいか、仕事以外考えられなくなり、睡眠もろくに取らなくなったせいで、睡眠薬を服用するようになった挙句、依存症を引き起こした。  その依存症を克服する為にも、警察を辞めて自由に動ける探偵業を始めた。  その相棒に選んだのが偵川である。  彼は、探玄に何度も逮捕された経緯のある手癖の悪いスリである。しかし、本業は立派な医師免許を持つ医者である。逮捕歴があることから病院には勤められず、今はフリーの非常勤勤務医師として、必要な時だけ働いている。 「たんげ・・・。いや、ホームズ。犯人がわかったのか?」 「あぁ・・・。ワトソン君。が、その前に実証実験が必要だ。レストレイド、事件に関係したと思われる道具を用意してくれないか」 「はい・・・?事件に関係した道具ですか。何を用意すれば・・・」 「りんごの種さ」 「りんごの種・・・?ですか」 「あぁ・・・。それで、犯人がわかる・・・」
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