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「警察は、大久保が犯人で他殺だと断定しているのか?検視官の見立ては?」
「そこはまだ・・・。さっきも言いましたように自殺か他殺か・・・。ただ、状況からすると自殺の線が高いと・・・」
「それはどうしてだ?」
「はい。彼女は最後の食事に好きなドーナツやから揚げを食べたようですが、それら全てから毒物の青酸反応が検出されましたから・・・。それと、結構寒がりだったようで、電気ストーブを点けて、耳には大好きな歌を聞きながら、静かに逝ったのでは・・・」
「遺書はあったのか?」
「はい。文面はワープロ打ちで『セミになりたいから。ならせてください。人間の姿は今日をもって終わりにします 川崎真琴』と書かれていました」
「なんだ、そのセミになりたいって・・・?」
「あっ、それは大久保さんや友人に聞いたところ、彼女、よく次に生まれ変わる時はセミになりたいと言っていたそうです。最近では、仕事と私生活に疲れたとも言っていて、早くセミになりたいと言っているところを耳にしていたそうです」
「なるほどね・・・。それで、彼女はセミになれたのかな・・・?」
探玄は人通り部屋の中を見回してから、蓮澄から現場写真を見せてもらい、一つ一つ照らし合わせてみた。
「毒物が検出されたのは?」
「彼女が触れたものはほとんど・・・。コップ、ドーナツの箱、中のドーナツ、ウェットティッシュ、から揚げの一部、から揚げの袋です」
「そんなにか・・・。で、彼女は青酸カリをどこから入手したんだ?」
「それは今、捜査中です」
「わかった・・・。部屋の状況は?」
「玄関は鍵が掛かっていました。内側からドアロックもされていました。部屋の中の鍵も全てロックされていました」
「殺人なら・・・、密室殺人か・・・。そこまで状況が揃っていると自殺かもな・・・」
探玄は写真を見ながら一つ一つ部屋の中の様子を確認していく。
「テーブルの脇に青酸の入った瓶が転がっていたのか?」と一枚の写真を手に片膝をつきながら探玄は、振り向き様に蓮澄に尋ねた。
「はい・・・」
「彼女、毒物に関する知識は持ち合わせていたか?」
「いえ、彼女は普通科の高校を卒業して製菓専門学校に進学、卒業後今のアルバイト先に入ったそうです」
「なら、少しは毒物の知識は持っていたかもな・・・」
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