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「毒物って。死ぬの、人」
私は、寧恩の背後にあるテーブルの前に座ると、テーブルに両腕を曲げて置き、その上に顔を伏せながら尋ねた。しかし、視線は彼女の持っているものに向いていた。
「死ぬよ。200~300mg体内に入ったら」
そう言った彼女の手中にあったものは、怪しく光っていた。
「なんでそんなものもってんのさ」
「家系が家系ですから。手に入ったのよ」
そう言ってまた後ろを向いてしまった彼女の父親は、東京にある一流の大学で化学科教授をしている。様々な薬品を使って、日々研究しているらしい。
そんな父親を持つ彼女も、いいところの大学に進学し、こうして父親の真似事をしている。
科学に興味のない私には、彼女の父親がどれ程凄い人物なのか全く理解できないのだけれど、自宅に科学室なんてものを創造してしまうくらいだ。
優秀な科学者でなければ、単なる頭のおかしな人間のすることではないかと思う。彼女の父親は、自らの仕事ぶりを自負しており、周りの人間もなぜか彼を認めていた。
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